甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、バセドウ病、橋本病などの治療を行います。
甲状腺機能亢進症は甲状腺のホルモン分泌機能が過剰に高まることで全身にさまざまな症状が引き起こされる病気です。
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、体のさまざまな機能や新陳代謝を活性化するはたらきがあります。そのため、甲状腺機能亢進症によって甲状腺ホルモンの分泌量が増加すると、心拍数の増加や血圧の上昇、発汗、ほてり、手の震えなど交感神経が過度に刺激された際に生じる症状が見られます。
さらに、活動性の異常な高まりや、基礎代謝が異常に高まることによる体重減少、消化管のはたらきが過剰になることによる下痢などさまざまな症状が現れるようになります。
バセドウ病は甲状腺機能亢進症を起こす病気で、甲状腺機能亢進症の代表的な病気でもあります。この甲状腺の病気は、甲状腺臓器の特異性な自己免疫疾患のひとつで、1000人中2~6人いると言われており、女性患者が男性患者より5倍と多いのも特徴としてあげられます。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、動悸や息切れ、手足の震え、疲れやすさやだるさなどさまざまな全身症状が起こります。20~50歳代に発症することが多く、中でも30~40歳代の患者が最多で、男女の比率は男性1人に対して女性5~6人程度と女性に多くみられます。
治療の基本は甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬による薬物治療であり、症状によって適切な量の薬を内服することで、個人差はありますが1~3ヶ月程度で甲状腺ホルモンの値が正常に近づき、症状が治まることが多いです。内服薬での治療は最低でも数年はかかり、甲状腺の機能がきちんと保たれるようになれば薬を中止できることもあります。
甲状腺機能低下症は慢性的な甲状腺の炎症などにより甲状腺ホルモンが出なくなり、活動性が大きく低下するとともにむくみや全身のだるさなどが現れ、活気がなくなる病気です。甲状腺機能低下症の代表的な病気に橋本病があります。
一時的な甲状腺の炎症や、脳の下垂体から分泌されて甲状腺ホルモンの分泌を促進する甲状腺刺激ホルモンが低下した状態によっても甲状腺ホルモンの量が少なくなり、甲状腺機能低下症の状態になります。治療としましては、甲状腺ホルモンを内服することによってホルモンを補充します。甲状腺機能低下症を放置すると、高コレステロール血症や動脈硬化が生じやすくなり、心筋梗塞につながるおそれがあるので注意が必要です。
さらに、甲状腺機能低下症は不妊、流産、早産などのリスクとなるため、妊娠を考える女性や妊婦では積極的に検査をして必要があれば、治療します。